喰らいつく狼の群れ

本を読んで考えたことを書きます

オリンピック雑感(3)

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2021/07/25

台風8号が発生したらしい。天気予報はチェックしている*1。週の中盤から後半にかけて、東京に直撃するコースだ。オリンピックはどうなるんだろう。プランBを用意しているとは思えない。

 

西武ライオンズのユニフォーム、というとちょっと語弊があって、正しくは、西武ライオンズのあの「Lions」のロゴが胸のところに白抜きされている、青いTシャツを着た男の人が、黒い縁のめがねをかけて、なにやらガイドブックのようなものを読みながら、山の形をしたベージュの帽子をかぶった女の人を連れて、二人で歩いていた。女の人は、男の人の母親なんだろうか、歳が離れてるように見えた。男の人は、ガイドブックのような読みものから目を離すと、信号の角に置かれた花壇を指さした。「これこれ」

私は信号を待っていた。横目で見た。横目で見ただけなので確実ではないが、どこからどう見てもふつうの花壇にしか見えない。一昨日のピースをしてた外国人*2といい、このあたりは観光スポットになってしまったんだろうか。世の中でいまなにが起きているんだろう。

オリンピック雑感(2)

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2021/07/23

開会式の日の朝。よく晴れている。オリンピックは見ないと決めたけど、土砂降りで開会式に参加する選手がずぶ濡れになるのも気の毒だ。天気に恵まれてなにより。

 

コンビニへ行く道すがら、このあたりでは見慣れない、彫りの深い、整った顔立ちの若者が二人、サイクリングの途中なのか、自転車をガードレールに立てかけて、スマホでお互いの写真を撮影していた。私の住んでるところは多摩地域のごくごくふつうの住宅地で、カメラを向けたくなるようなものも特にない気がするんだけど、もしかすると海外からの観光客の方なんだろうか、他所の国に行くと、気分が高揚して、なにもかもが目新しくて、ついついなんでも撮りたくなってしまう、そういう心理がいま、彼らに働いているんだろうか、団地の前でピースをしてた。ナイスポーズ。

結局、観戦のルールはどうなったんだろう。無観客になったんだろうか。ニュースを見ていないので、私には分からないが、彼らが海外からの観光客であると仮定して、いったいどの競技を観戦するんだろう。

 

一昨年、ラグビーのワールドカップが日本で開催されて、非常に盛り上がった。有楽町駅のあたりを歩いていると、海外から観戦に来たお客さんをスタッフがなにやら案内していて、街に活気があった。

ラグビーのワールドカップを観戦するために、ラグビーのファンが海外からはるばる日本にやってくる、というのは非常によく理解できる。一方で、オリンピックを見るために、オリンピックのファンは海外からはるばる日本にやってくるのか。オリンピックのファンは存在するのか。

オリンピックはマイナースポーツの祭典とよくいわれる。100m走は私も興味がある。誰が一番速いか、分かりやすさがある。ただ、例えば、クレー射撃となると、クレー射撃の選手ならびに関係者のみなさんには申し訳ないが、よく分からないと思う。私はクレー射撃を実際に見たことがないので、想像で勝手に言っているだけだが、おそらくはじめのうちは、宙に向かって飛んでいった皿が撃ち落とされる、なんてことは日常生活ではまず起きないので、ワーワー興奮するはずだ。しかし、何度も繰り返し見てたら、確実に飽きる。正確に皿を撃ち落とすためには、すごい技術や努力が必要なのかもしれないが、絶対に理解できない。自国の選手やすごい実力者が出場しているのであれば、その選手を中心に楽しむこともできるかもしれないが、選手全員を笑顔で応援するのは少なくとも私には無理だ。表情筋が死んでしまう。

 

団地の前でピースをしてた彼らは、これからクレー射撃を見るのだろうか。チケットは結構な倍率だったと聞く。私の友人も何人か、手当たりしだいに抽選に応募していた。不本意ながら、本命の競技のチケットはとれず、クレー射撃の一枚だけ当たってしまった、という可能性もある。

地球の裏側からはるばる日本までやって来たのに、クレー射撃を見るだけなんて耐えられない。けれども、堂々と観光はできない。酒も飲めない。悲しすぎる。

ここまでいろんなことを仮定しながら書き散らしてしまった。本当のところは分からない。とにかくサイクリングを楽しんでほしい。

 

午後八時半、部屋でひとり、YouTubeを見ながらお酒を飲んでいると、花火のような音が何度かきこえた。気のせいかもしれない。開会式の演出だろうか。

2021/07/24

近所をふらふら散歩していると、おばあさんが二人、向こうのほうから歩いてきた。「それで結局最後はどうなったの?」「選手がバラバラに、」 

開会式の途中で寝落ちしたんだろうか。選手がバラバラに、というのは退場のなにかを言ってるんだろうか。特定の選手が機械かなにかでミンチにされた、ということではなさそうだ。たしかに選手が一斉に退場すると密になってしまう。結局最後はどうなったんだろう。気になる。

セミがいなくなった

ここ何日か、ピーピー鳴いてる鳥のことばかり考えていたけど、セミの鳴き声を今年はまだ聞いていないことに気づく。おかしい。じつは聞いてるけど私が忘れてるんだろうか。二週間前に、大阪で暮らす同僚がセミが鳴きはじめたと報告していた。大阪と東京でセミがそんなに違うのか*1。一週間くらい前に、道路の真ん中に中くらいのセミが仰向けに転がっているのを見た。ミンミン鳴いてるのはまだ聞いていない。ピーピー鳴いてる鳥に食べられたんだろうか。昨日の夕方、父親が虫取り網をかついだ男の子に「クワガタはなかなか見つからないね」とつぶやいた。二人は曲がり角を曲がった。セミは見つかったんだろうか。

*1:最近聞いた乃木坂46のラジオでも、大阪はセミが鳴いてた、とメンバーの誰かが報告していた。

オリンピック雑感(1)―ニュースダイエットとTOKYO2020―

2021/07/22

四連休の初日。ついに明日からオリンピックが始まるらしい*1。オリンピック期間中に自分がオリンピックについてどんなことを考えていたか、あとから思い出せるように、こうして記録をつけることに決めた。

この日より前の日付の出来事は、今日、2021年7月22日に振り返って記録をつけたため、記憶の間違いがあるかもしれない。

2021/07/11

ロルフ・ドベリの「News Diet」を読み終えた。なにごとにも影響されやすい私は、ニュースを見るのをやめることにした*2

News Diet

News Diet

Amazon

 

7月22日現在の私が記憶している、直近のニュースは、熱海で起きた土砂災害だ。テレビで同じ映像が繰り返し流れていた。ショッキングな出来事だが、私が心を痛めたところでどうにもならない*3

コロナウイルスもたしかに心配だが、私にできることは何もない。感染しないように外出は必要最小限にする。ワクチン摂取の順番が回ってくるのをおとなしく待つ。ニュースを見たところで、私のふだんの行動は変わらない。

オリンピックについては、本当にがっかりしていて、開催されようがされまいがオリンピックはもう絶対に見ないと決めていた。これはたしか、先月のどこかのタイミングで決めたと記憶している。決定的なきっかけになったニュースがなにかあったはずだが、残念ながら思い出せない*4

 

このように、最近悲しいニュースが多い*5。このままでは私の生活がダメになってしまう。気持ちが荒む。ニュース(特にオリンピックに関するあれこれ)は今後、少なくとも七月八月は、すべて遮断するとこの日、心の誓いを立てた。心の誓いを立てただけでは人間なかなかうまくいかないので、たしかこの日のうちにか、遅くとも次の日までには、いくつかの対策を講じた。徹底的にやる。

  • テレビの線を抜いた*6
  • スマホのニュースアプリをすべて消した。
  • ブラウザのニュースサイトのブックマークをすべて消した*7
  • ニュースのリツイートをしてくる人のツイッターのフォローをすべて外した(ごめんなさい)*8

2021/07/16

ニュースを全く見ずに、平日の五日間を乗り切ることができた。梅雨明け直前で、天気は悪かったが、心はおだやかだ。開会式まであと一週間だ。

2021/07/17

オンラインの飲み会があった。ワクチン摂取の副反応がなんとかかんとか。みんなおじさんになった。オリンピックの話題は出なかった。

2021/07/19*9

仕事中に調べものをしていたら、どうやらオードリータンが開会式に来ないことになったらしい。ヘッドラインだけ見てしまった。詳細は確認してないため分からないが、オードリータンの判断は賢明なように思えた。オードリータンのような頭のいい人が開会式に来なくても、オリンピックは開催されるんだろうか。

2021/07/20*10

田中圭がコロナウイルスに感染したらしい。私も知ってる俳優だ。一時期、アベマTVのCMでよく見かけた(狂った高校教師の役を演じていた)。リモートワークが多く、電車に滅多に乗らなくなったというのに、たまたま乗った電車の小さいテレビでうっかり見てしまった。すぐに下を向く。オリンピックはどうなったんだろう。田中圭がコロナウイルスに感染しても、オリンピックは開催されるんだろうか。

2021/07/21

勤めている会社がスポンサーをやっているからか、オリンピックに関する、なんだか訳の分からない社内の通知があった。私の部署はオリンピックとは縁もゆかりもないので特に影響はないけれど、どうやら本当にオリンピックは開催されるみたいだ、この通知で確信に変わった*11

明日からの四連休が待ち遠しい。

*1:開会式は22日だったか23日だったか、記憶があいまいなんですが、これ以上余計なことを知りたくないので、あえて調べないことにします。

*2:なかなかためになる本なので、気になる人はぜひ読んでみてください。

*3:自然災害は用心するにこしたことはないので、現在も必要最低限の情報は得るようにしています。ロルフ・ドベリも天気予報はチェックするそうです。

*4:特に、コロナウイルスやオリンピックについては、たくさんの意見がありますが、それらについて議論するつもりはありません。ちなみに、ロルフ・ドベリは、現代社会の問題は情報が氾濫していることではなく意見が氾濫していることだ、というようなことも同書で指摘していて、私はこの指摘には賛成の立場です。

*5:

www.youtube.com

*6:テレビが嫌いなわけではないので、好きな番組はPCで録画して視聴しています。録画予約をするときに番組表が一瞬目に入るのが悩みです。

*7:他にも、Chromeの起動ページにデフォルトでニュースが表示されたり、いたるところにニュースは潜んでいて、油断できません。

*8:おすすめやトレンドも毒なので、これらを非表示にするためのChromeの拡張も入れました。

*9:これも記憶があいまい。2021/07/16の可能性あり。

*10:2021/07/18の可能性あり。

*11:本当に、一切のニュースを遮断しているので、私がいまこの記録を書いてる時点で開催中止もしくは延期になっている可能性は(低いですが)捨てきれません。もしそうなっていたら、笑い飛ばしてください。

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梅雨が終わった。午前五時。あたりは静かで、遠くから電車が中央線を走る音が聞こえる。線路から二キロは離れている。駅の自動音声が新型コロナウイルスの感染対策を案内している、ニューデイズがコンビニおにぎりの常識を変える、会社員がつぎからつぎへとスマートフォンを改札にかざしては通り抜けていく、エレベーターが改札口とホームの間を往復している、制服を着た小学生の群れがホームを駆ける、と私は想像する。家はまだ眠っている。鳥がピーピー鳴いている。

 

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まぶしい。

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熊がはりつけにされていた。
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ビニールテープを巻く木。青が多い時代。

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独自性。

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物騒なものを巻く遊具。

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鳥がピーピー鳴いていた。姿はよく見えない。

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夏が開けた。あじさいは汚くなった。

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窓を開けて眠りにつくと、ひんやりした風が部屋に入ってくる。

朝方、4時を過ぎたくらいから、鳥がピーピー鳴いてるのが聞こえる。私はまだ眠ってるから、はたして私は聞こえてるのか聞こえてないのか、鳥は鳴いてるのか鳴いてないのか、そこは判然としない。とにかく、それからもうしばらくして、私が目を覚ましたときには、すでに鳥がピーピー鳴いてる、それはたしかなわけで、おそらく推定だいたい4時くらいから、空がぼうっと明るくなってくると、ピーピー鳴いてる鳥がピーピー鳴きはじめて、そのピーピー鳴いてる声が、眠っている私の耳に、部屋の開けた窓を通り抜けて、届いているのだろう、ということである。

ピーピー鳴いてる鳥はなんて名前だろう、そんな考えが、考えと呼ぶにはいくらなんでも程度が低すぎる、気分のようなものが、寝起きの私のぼんやりとした頭を横切って、すぐにいなくなった。姿を見たことがないものの名前を知りたいというのもなんだか失礼というか軽薄ではないか、名前を知れば、それを手がかりにピーピー鳴いてる鳥の写真を図鑑で見たり、ピーピー鳴いてる鳥の生態を調べることができる、だいたいピーピー鳴いてる鳥の図鑑的知識(という言葉遣いはなにかの本でおぼえた)が増えたところでピーピー鳴いてる鳥に対する私の理解の総体にとってなにになるのか(同じ本でこのような議論がなされていたがこれ以上再現できない)。

グールドのブラームス

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

大学に入ったばかりの、三月、四月くらいに、正確にいえば、三月はまだ大学には入っていないから、京都で一人暮らしをはじめたころに(ところで京都で一人暮らしをはじめたのが三月の何日で、その日にどんな出来事があったかほとんど記憶にない、家賃三万五千円のアパートから歩いて二分くらいのところにある生活用品店で、お店の名前ももう忘れてしまった、ティッシュやトイレットペーパーやこれから生活を始めるにあたって最低限必要になるものと一緒に、おそるおそるグレープ味かカルピス味のほろよいを買って、アパートで一人で飲んでなんだか拍子抜けしたことはおぼえている)、私はグールドのブラームスをよく聴いていた。

渋谷のタワーレコードのクラシック音楽のフロアで、「無人島に一枚だけ持っていくなら」のような企画をやっていて、たしか坂本龍一がグールドのブラームスを選んでいた。なぜ坂本龍一がグールドのブラームスを無人島に持っていくのか、細かい理由は記憶していないが、とにかくそれで買った。結局京都は無人島ではなかったし、別に当時も無人島に行く覚悟で買ったわけではないけれど、それはともかく、音楽と音楽を聴いていた時間というのはつながりをもっていて、久しぶりに聴いてみるとそのときのことがこうしてなんとなく思い起こされるので、これは私にとって良い音楽であると自信をもって私に言うことができる。

 

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