喰らいつく狼の群れ

本を読んで考えたことを書きます

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窓を開けて眠りにつくと、ひんやりした風が部屋に入ってくる。

朝方、4時を過ぎたくらいから、鳥がピーピー鳴いてるのが聞こえる。私はまだ眠ってるから、はたして私は聞こえてるのか聞こえてないのか、鳥は鳴いてるのか鳴いてないのか、そこは判然としない。とにかく、それからもうしばらくして、私が目を覚ましたときには、すでに鳥がピーピー鳴いてる、それはたしかなわけで、おそらく推定だいたい4時くらいから、空がぼうっと明るくなってくると、ピーピー鳴いてる鳥がピーピー鳴きはじめて、そのピーピー鳴いてる声が、眠っている私の耳に、部屋の開けた窓を通り抜けて、届いているのだろう、ということである。

ピーピー鳴いてる鳥はなんて名前だろう、そんな考えが、考えと呼ぶにはいくらなんでも程度が低すぎる、気分のようなものが、寝起きの私のぼんやりとした頭を横切って、すぐにいなくなった。姿を見たことがないものの名前を知りたいというのもなんだか失礼というか軽薄ではないか、名前を知れば、それを手がかりにピーピー鳴いてる鳥の写真を図鑑で見たり、ピーピー鳴いてる鳥の生態を調べることができる、だいたいピーピー鳴いてる鳥の図鑑的知識(という言葉遣いはなにかの本でおぼえた)が増えたところでピーピー鳴いてる鳥に対する私の理解の総体にとってなにになるのか(同じ本でこのような議論がなされていたがこれ以上再現できない)。