喰らいつく狼の群れ

本を読んで考えたことを書きます

『サウンドプロダクション入門』に学ぶフィーレドレコーディング

身のまわりの音が気になるようになった

心が弱っているのだろうか、鳥がピーピー鳴いてるとか*1、セミが鳴いてないとか*2、身のまわりの音が気になるようになった。

スマートフォンが普及して、写真や動画を記録するのは当たり前になった。写真や動画を撮るように、鳥の鳴き声やセミの鳴いてない声を記録してみたい。「フィールドレコーディング」だ。『サウンドプロダクション入門』という本に良いことが書いてあった。

普段、視覚や聴覚と一緒に受け止めている外の世界は、聴覚だけ切り離すと全く違うものになります。視覚イメージのないところでは、音の大きさや距離感、場所の響きや、普段気に留めていない多数の環境音に気づくのです。山の風の音や木の葉の擦れる音、川や海の水の音、時には港や工場のノイズは、それ自体で聴き込むことのできる美しい環境音楽になります。*3

機材を買った

2021年現在、安くて音質のいい機材は、ZOOM社のH1nだそうだ。Am7と悩んだが、専用の機材を持っていたほうが感じが出そうなので、H1nに決めた。どちらも1万円くらいで買える。

zoomcorp.com

zoomcorp.com

自宅で録音してみた

注文した次の日の朝に届いた。ありがとうヨドバシカメラ。

自宅でまずは録音してみる。寝室で、といっても小さなアパートに住んでるので、うちには寝室とリビングしかないんだけど、ベッドの隣の引き出しの上にH1nを置いて、窓を開けて、一時間くらい回してみることにする。ピーピー鳴いてる鳥がピーピー鳴いてるのを記録したい。いつものようにピーピー鳴いてほしい。お願いします。セミもミンミン鳴いてほしい。ぜひ参加してください。

再び『サウンドプロダクション入門』によると、

実際に録音するときは、密閉型のヘッドフォンでモニターしながら作業すると、狙いもはっきりするし、作業に集中できるでしょう。

また、ヘッドフォンでモニターしているとはっきりとわかりますが、録音したい音をマイク正面に置くと、音の狙いがはっきりします。これがずれていると、何を録音したいのかがよくわかりません。*4

と書いてあって、ちゃんとモニターしながら機材の位置を調整したほうがいいっぽいんだけど、とりあえず初回なので、エイヤで録音開始ボタンを押して、そのまま一時間、放っておくことにする。うまく録音できてなかったら、そのときまた考えればいい。

ちょうどいま録音しながら、隣のリビングでこの文章を書いていて、キーボードを叩く音とか、マグカップをテーブルに置く音とか、冷蔵庫を閉じる音とか、自分の生活音が入るのは特に気にしてないつもりなんだけど、録音してることを意識しはじめると、いろんな動作がぎこちなくなってしまって、なんだかおもしろい。

 

ちなみに、今回のレコーディングは以下のセッティングで行っている。

  • フォーマット

    • 非圧縮のWAVで、48kHz/24bitにしておくのが無難らしい。とりあえずそれにしたがう。このフォーマットだと、32GB*5のmicroSDカードで、最大30時間まで録音できるようだ。データはこまめにPCに移動するつもりだし、そもそも連続録音中の電池持続時間も最大10時間で、さすがにそんなに長回しにすることもないだろうから、この設定で困ることはなさそうだ。
  • 低域カット

    • Zoom H1nには、風の雑音やボーカルのポップノイズをカットしてくれる機能が備わっている。とりあえずON(120Hz)にした。風の雑音はどういうふうに聴こえるんだろう。風の雑音があるほうがもしかすると味があるかもしれない。
  • リミッター

    • 突発的な大音量に対してクリップ(音割れ)を防止してくれる機能もついてた。どういう仕組みで防止してくれるんだろう。これもONにした。
  • 入力レベル

    • どのくらいの値が適切なのか全く分からないので、とりあえず自動レベル調整をONにした。

音源を聴いてみた

soundcloud.com

一時間回したので、一時間かけて聴いた。気になるところは何回か繰り返し聴いたので、全部で一時間半くらいかかった。

AirPods Pro*6でノイズキャンセリングを全開にして、リビングの天井を見ながら聴いた。鳥がピーピー鳴いていた。セミが遠くのほうでミンミン鳴いていた。車が通りを走っていた。私がキーボードを叩いていた。不思議な感覚である。これはなかなかおもしろい。H1nをもって、いろんなところに行ってみたい*7

*1:https://kuraitsukuookami.hatenablog.com/entry/2021/07/21/091803

*2:https://kuraitsukuookami.hatenablog.com/entry/2021/07/23/063928

*3:横川克彦(2021)『サウンドプロダクション入門 DAWの基礎と実戦』ビー・エヌ・エヌ、p.30

*4:同p.33

*5:Zoom H1nは最大32GBまでしか対応していない。

*6:モニター用のちゃんとしたヘッドホンで聴いたほうがいいのかもしれないが、残念ながら私の持っているAKG K701(いわゆる澪ホン)では遮音性が低く、録音した音を聴いてるのか、外の音を聴いてるのか、区別がつかなかった。

*7:編集もなにもしてませんが、音源をSoundCloudに置いておきます。私でない他の誰かが、私の身のまわりの音を聴いて、私と同じようにおもしろいと感じるかは分かりませんが、作業用BGMくらいにはなると思います。