喰らいつく狼の群れ

本を読んで考えたことを書きます

上出遼平「ハイパーハードボイルドグルメリポート」

本書は、テレビ東京の同名の番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」を書籍化したものだ。ヤバい奴らのヤバい飯。ただ、番組で紹介された内容は、本書で語られる内容のごく一部にすぎない。

 

ハイパーハードボイルドグルメリポート

ハイパーハードボイルドグルメリポート

 

 

リベリアの元少年兵は、生きるためには敵を殺すしかなかった。内戦は終わり、彼らの人生は続いている。貧しいが、生きるためには食べなければならない。

台湾のマフィアは、豪奢な料理に舌鼓をうつ。その裏では、善良な人を暴力で傷つけ、時には誰かを殺すこともあるのかもしれない。

 

ロシアのカルト宗教の信者たちは、人里離れた村で、自給自足の生活を送っている。肉は禁じられている。酒も飲まない。豊かな暮らしではないが、悩みや心配に苛まれることはないという。それでも、人生の意味をなにか求めている。

ケニアのゴミ山で暮らす少年は、一日中汚穢にまみれてゴミを漁る。ゴミ山で食べて、ゴミ山で眠る。ここから抜け出す日は来るのだろうか。希望を求めて、神に祈る。

 

食べることは生きること、とよく言われるが、そのあり方は(日本で暮らす我々には信じられないほど)多様だ。そして、そこに正解はない。